マンションの建替えは絶望!?耐用年数や気になる費用負担は?既存不適格は最悪!

マンション購入・売却

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戸建てとマンションどっつがいいのか?一番大きな違いは、立て替えができるかできないかです。確かにマンションでも建て替えができている事例はあるが、どれも容積率が余っていて、持ち出しのお金がゼロの物件ばっかり。マンションの建て替えを目指すのはできるだけ避けて、維持管理をきっちりやっていくしかない。そうは言っても、いつかは建物の寿命がやってくるので、建て替えにあたっての課題と物件の選び方について不動産業界歴20年以上のプロが徹底解説していきます。

  1. ほとんどのマンションは建て替えができない!気になる費用は
    1. マンション建替え不可能な最大の理由は「経済的な合理性の欠如」
    2. 経済的合理性がなぜここまでなくなったのか
      1. 1. 建築費の高騰による「追加負担金」の増大
      2. 2. 容積率の使い切り(ボーナスがない)
      3. 3. 資産価値とコストの逆転現象
    3. 経済的合理性がない以外に立ちはだかる「合意形成」の壁
    4. なぜ建築費はここまで上がったのか?
  2. そもそもマンションの寿命や耐用年数はどれくらい
  3. 建て替えができているマンションの共通点とは
  4. 5分の4の賛成が必要な建て替えはかなり高いハードル!
    1. 2026年施行の改正による主な緩和ポイント
    2. 2026年の法改正が実務レベル・現場でどう変わるのか?
      1. なぜ「3/4」でも依然として難しいのか?
  5. 建て替えか維持管理かそう簡単に意見はまとまるわけがない
  6. 契約時、さらっと知らされる既存不適格の意味!建て替えは絶望を意味する!
  7. 行政が容積率を緩和するしか建て替えの道はない!
  8. 建て替えが実施されないマンションのたどる道
    1. 定期的な大規模修繕
    2. マンション敷地売却制度を利用して敷地を売却する
  9. 多くの老朽化マンションにとって「敷地売却」が最も現実的、かつ「唯一の出口」になり得る選択肢
    1. 1. 法改正による「手続きの連続性」の確保
    2. 2. 「追い金」が発生しない経済的メリット
    3. 3. デベロッパー側のニーズとの一致
    4. 4. 残された「住まいの確保」という課題
  10. 買ってくれる会社がない場合、マンションは非常に厳しい「負のスパイラル」に陥るシナリオ
    1. 1. 「修繕の無限ループ」とスラム化
    2. 2. 自治体による「特定合議マンション」への指定
    3. 3. 「建物除却(解体)」のみの実施
    4. 買い手がいない場合の現実的な「次の一手」はあるのか?
  11. マンションの建て替えが決まった時の2パターン
    1. 建て替えに賛成して負担金を支払い再入居する
    2. 建て替えに反対して立ち退きする
  12. マンション敷地売却の場合の流れ
  13. 建て替え費用の負担が厳しい時はマンション売却も検討すべき!負動産は「逃げるが勝ち」
    1. 1. 「ババ抜き」の最終局面
    2. 2. 経済的な「損切り」の重要性
    3. 3. 次世代への「負の遺産」の回避

ほとんどのマンションは建て替えができない!気になる費用は

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マンション建替え不可能な最大の理由は「経済的な合理性の欠如」

一般的に、築30年~築40年くらいから建て替えを視野に動く管理組合も多いが、10年経っても20年経ってもまとまらないのが現状です。マンションの建て替えを難しい1番の理由は、「経済的な問題」です。2番目の理由が、合意形成の壁の高さ・難易度の高さです。まず、マンションの建て替えにどれだけの費用がかかるのかというと、まずは現在の建物を取り壊す費用、そして新たな建物を建てる建築費用ですが、例えば、解体費用だけでも1住戸あたり400万円、500万円はします。RCの解体費用は高くつきます。

現在建て替えが成功しているのは、容積率が余っていて住民の持ち出しがゼロ円での建て替えばかりです。

そして、新しい建物は、例えば坪100万円でできるとすると、70平米くらいの広さであれば、21坪くらいなので、21×100で、2100万円くらいはかかることになります。これでざっくりと2500万円くらいかかります。ただ最近はマンションの建築単価(坪単価)は、ここ数年で驚くほど上昇しています。かつて「坪100万円」が高級マンションの目安だった時代もありましたが、2026年現在は坪150万円以上まで跳ね上がっています。建て替えの頃、建築コストがどれくらい上昇しているかと考えるとゾッとします。

これだけではなく、実際には、建築中、仮住まいが必要になります。少なくとも1年から2年の仮住まいは必要なので、1住戸あたりトータルで3500万円くらいは必要になるとおおまかに考えることができます。また、今後建築費の上昇が見込まれるので今後もっと建て替えのハードルが上がると考えられます。

立て替えができない一番の理由はお金の問題

費用の負担が重いのが建て替えが難しい一番の理由だと思います。

また、建て替え決定までの流れが複雑で時間がかかり、特に既存不適格の分譲マンションは建て替えは絶望的です。

全員が納得し、足並みを揃えて建て替えの費用を用意するのはかなりハードルが高い!不可能に近い! 

(1)既存建物の解体費用 

(2)新たな建物の設計・建築費用

(3)工事期間中の仮住まいのための費用 

マンションの規模や形やグレードによっても大きく変わりますが、その平均的な費用相場は1戸あたり3500万円程度にはなります。

解体費用や建築費用だけでなく、工事には1~2年程度を要するため、その間は賃貸で仮住まいをする必要もあります。また仮住まいをするには工事前と完成後の2回分の引っ越し代も必要になります。

建て替えを考えるようなマンションの場合、かなりの築年数が経過しているので、すでに住宅ローンを完済している方もいますが、中古で購入し、まだまだ残債が残っている方もいると思います。その場合、現在の住宅ローンに加えて、建て替えに充てる費用もローンで組むことになり、ダブルローンを組まないといけないことになります。ダブルローンは審査が厳しいので、年収や勤続年数、勤務先などの属性がよくなければ、ダブルローンの住宅ローン審査は否決される可能性が高くなります。 

また、もう働いていなくて年金受給者にとっては、ローンが組めないのは当然のことながら、仮に組めたとしても支払いが厳しい可能性が高くなります。このようにお金が絡んでくると、全員が納得し、足並みを揃えて建て替えの費用を捻出することはかなり厳しいというか、不可能といった方がいいと思います。

経済的合理性がなぜここまでなくなったのか

1. 建築費の高騰による「追加負担金」の増大

前述の通り、建築単価が坪130万円〜150万円を超えるレベルまで上昇したことで、既存住民が負担すべき金額が跳ね上がっています。

  • 以前であれば「2000万円〜2,500万円」で済んだ負担金が、今では「3,500万円〜4,000万円以上」必要になるケースも珍しくありません。
  • 年金生活世帯が多い築年数が古いマンションでは、この金額を捻出したり、新たにローンを組んだりすることが現実的に不可能です。

2. 容積率の使い切り(ボーナスがない)

1970年代〜2000年代のマンションの多くは、当時の法規で容積率をほぼ使い切っています。

  • 建て替えても「床面積が増えない」場合、建築費・解体費を全額住民が負担しなければなりません。
  • 容積率緩和制度(マンション建替円滑化法など)の活用も検討されますが、立地条件や自治体の基準が厳しく、すべての物件が恩恵を受けられるわけではありません。

3. 資産価値とコストの逆転現象

特に地方や郊外では、「建て替え費用 > 新築後の資産価値」という逆転現象が起きています。

  • 3,500万円払って建て替えても、完成した部屋の市場価値が2,500万円にしかならないのであれば、経済的な合理性は完全に失われます。

経済的合理性がない以外に立ちはだかる「合意形成」の壁

経済問題がベースにありつつ、さらに難易度を上げているのが「住民間の温度差」です。つまり合意形成の難しさです。

  • 高齢者の反対: 「あと10年〜20年住めればいい。多額の借金をしてまで新しい建物はいらない」という切実な声です。そもそも年金収入しかない場合、どうしてもお金を工面することができません。
  • 賃貸・空き家の増加: 居住していない区分所有者にとって、建て替えは投資効率が悪く、賛成するメリットが薄くなります。
  • 「4/5」の壁: 建て替え決議には所有者および議決権の80%以上の賛成が必要ですが、経済的負担が重くなればなるほど、この数字の達成は絶望的になります。後述で解説していきます。

なぜ建築費はここまで上がったのか?

坪100万円以下が当たり前だった2011年頃と比較すると、この15年弱で建築費は約2倍くらいに上昇しています。主な要因は以下の通りです。

  • 資材価格の高騰: 鉄筋、コンクリート、電線、住宅設備(システムキッチンやトイレ等)の価格が世界的なインフレと円安で高止まりしています。建築資材が輸入に依存しているため、為替の影響が建築コストに大きな影響を及ぼします。
  • 深刻な人手不足: 建設業界の「2024年問題」による労働時間規制の影響もあり、職人の人件費(労務単価)が14年連続で上昇しています。
  • 性能基準の厳格化: 2025年からの「省エネ基準適合義務化」など、断熱性能や環境性能への対応コストが標準的に上乗せされるようになりました。

そもそもマンションの寿命や耐用年数はどれくらい

マンションの耐用年数には「法定耐用年数」がありますが「物理的耐用年数」とは全く違います。法定耐用年数法定耐用年数とは、会計上、減価償却費を計上できる期間のことであくまでも、税金を取るためのものです。

法定対応年数と物理的な寿命とは全く別物です。法定耐用年数は、1度に償却されると、節税に利用されて税金が取れなくなるのを防ぐために作っています。

法定耐用年数は、建物の構造によって決まっており、鉄筋コンクリート造または鉄骨鉄筋コンクリート造の建物は47年になります。

法定耐用年数は、建物を十分に利用できる期間をある程度反映していますが、実際に利用できる期間や経済価値が生じる期間とは全く違います。物理的耐用年数物理的耐用年数とは、物理的に建物が利用できる期間のことです。

近年は建築技術が発展したため、鉄筋コンクリート造の建物であれば耐用年数が100年を超えるともいわれています。

ただし、50年前は今よりも建築技術が低いため、50年前に建てられたマンションは築60〜70年くらいが物理的耐用年数の限界と推測されます。

建て替えができているマンションの共通点とは

立て替えができる可能性のあるマンションは、立地がよく容積率に余裕のある物件に限定されます。

お金の持ち出しがなく、等価交換で建てているケースしか建て替えはできていません。

ほとんどのマンションは当てはまりません。

立て替えができているマンションには共通点があります。立地がよく容積率に余裕のある物件です。

お金の部分が、問題なくなれば、建て替えできる確率が上がります。実は、区分所有者の費用負担を軽減できる方法があります。しかし、それは容積率に余裕がある場合に限られます。容積率とは「敷地面積に対する建物の延床面積の割合」のことです。

容積率に余裕があるということは、「戸数を増やして上に積んでいくことができる」ということです。 これができれば、建て替えの際に、戸数を増やし、その増やした住戸を分譲して、その利益を建て替え費用にあてることができます。 

デベロッパー(不動産分譲会社)が、間に入っても利益が生まれる場合、等価交換という形で、デベロッパーがその区分所有者の土地の持ち分を買い取るという形で、持ち出しなしで、建て替えることができます。大阪の千里ニュータウンのマンションの古いマンションの建て替えはすべてこの方法で建て替えがされています。

だから立て替えの決まった古いマンションは、立て替えの決まる前の相場が1000万円前後でしか売れなかったマンションが、分譲会社が買い取る金額が高かったら倍以上の、2300万円~3000万円で流通するようになりました。高くなった理由は、容積率が余っていたからです。

こういった分譲マンションの場合、もともとの区分所有者の住戸は、非分譲として販売されません。すべて公団の分譲マンションで、広い敷地があるにもかかわらず、エレベーターなしの5階建ての分譲マンションです。民間の分譲マンションは、容積率をいっぱいに使って分譲していますので、条件が全然違うことになります。

容積率がどれだけ余っているのかによって、新規の分譲住戸で得た利益を建築費に充当できるため、1戸あたりの負担額は下がることになります。ほとんどのマンションでは、容積率は余っていません。

そもそも、分譲会社が事業として成り立たせるためには、高層化した住戸を売って利益を出さなければいけません。そうすると駅に近い一等地のロケーションのいい立地にある物件に限定されるということになります。「戸数を増やせて、且つ、高く売れる」立地のマンションでなければ、区分所有者の負担軽減することはできないということです。 

しかし、知っておかないといけないのは、持ち出しなしつまり無料で建て替えができた物件でも、建て替えまでに、建て替えの話がでてから10年から20年かかってやっと、踏み切ることができているという事実です。いかに難しいことかわかります。お金が絡めば、ほぼ不可能といえます。

5分の4の賛成が必要な建て替えはかなり高いハードル!

 

実際に、マンションの建て替えを実行するには、区分所有法(建物の区分所有等に関する法律)に基づく「建て替え決議」を行う必要となり、「集会においては、区分所有者及び議決権の各五分の四以上の多数で、建物を取り壊し、かつ、当該建物の敷地若しくはその一部の土地又は当該建物の敷地の全部若しくは一部を含む土地に新たに建物を建築する旨の決議をすることができる。」と定められています。 

つまり、建て替え決議を行うには、組合員(区分所有者)の総数と議決権の総数のそれぞれ5分の4の賛成を得る必要がありますが、お金の問題だけでなく様々な問題が噴出してきます。 

また、例えば「室内をリフォームしたばかりで、建て替えたくない」「もういい年齢なのでもうそれほど長く生きることはできない。建て替えしても意味がない。」など、様々な価値観や考え方があります。

建て替え決議を成立させるには、考え方や価値観の違う区分所有者の意見をまとめないと前には進みません。仮に5分の4の賛成を取り付けたとしても、ダブルローンを組めない人や年金生活者は、どうやって生きていくのかという問題もでてきます。

2026年施行の改正による主な緩和ポイント

  1. 決議要件の引き下げ(4/5 → 3/4)
    • 耐震不足など一定の理由がある場合に、建て替え決議の要件を「5/4(80%)」から「3/4(75%)」へ引き下げることが検討されています。すべてのマンションが緩和されたわけではありません。条件のハードルがあります。
    • これにより、わずかな反対票で計画が頓挫するケースを減らす狙いがあります。
  2. 「所在不明者」の除外
    • これが実務上は非常に大きな変化です。従来は「連絡がつかない人(所在不明者)」は自動的に「反対票」としてカウントされていました。
    • 改正案では、裁判所の認定等を経て、所在不明者を決議の母数(分母)から除外できるようになります。これにより、実質的な賛成率が上がりやすくなります。
  3. 区分所有権の解消(一括売却)の円滑化
    • 建て替えだけでなく、マンションと敷地をまるごと売却して解体する「一括売却」の要件も、同様に3/4への引き下げが検討されています。

2026年の法改正が実務レベル・現場でどう変わるのか?

実務的には、2026年4月の施行に合わせて「管理規約の変更」を急ぐ管理組合が増えています。

新しい法律のメリット(出席者ベースの決議など)を享受するためには、規約を改正法に適合させる必要があるためです。また、海外居住のオーナーに対して「国内管理人」の選任を求める動きも強まっており、管理組合の運営がより「アクティブな参加者中心」にシフトしています。

経済的な壁は依然として高いままですが、「話し合いすら進まない」という法的ロックは解除されたというのが、2026年改正の実情と言えます。

なぜ「3/4」でも依然として難しいのか?

耐震に問題がある等一定の条件をクリアしたマンションが要件が緩和されたとはいえ、「経済的な壁」が消えるわけではありません。そもそも建て替えは一等地の立地で経済合理性がある立地でないとお金をわざわざ出す意味がありません。むしろ、緩和によってより具体的に課題も浮き彫りになっています。「3/4」は賛成したとしても、残りの「1/4」をどう救済するかという視点です。 反対している25%の人々には、資金不足でどうしても負担金が払えない高齢者などが含まれます。無理やり決議を通しても、その人たちの住まいをどう確保するかという人道的な問題が残ります。

また、建築費のさらなる上昇が予想され、法律が使いやすくなっても、建築コストが上がり続けているため、結局「3/4の賛成は得られたが、見積もりを見たら全員が沈黙した」という状況が全国で頻発すると予想されます。

建て替えか維持管理かそう簡単に意見はまとまるわけがない

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仮に、建て替えにかかる費用がゼロ円としても簡単にはまとまらない!

建て替えの議論がでるような古いマンションでは、様々な年齢の方が住んでいます。様々な価値観・考え方をまとめていく必要があります。

一番厄介なことは、相続によって、所有者が誰なのかわからなくなってしまっているケースです。資産価値のないマンションと判断すれば、毎月の管理費・修繕積立金の負担を考えて相続放棄することも考えられます。

大きくは「すぐにマンションを建て替えるべき」という建て替え派と、「建て替えはせず、このまま維持管理して寿命をできる限り伸ばしたい。」という維持管理派の2つの考え方がありますが、戸数が多ければ多いほど、多様な考え方や個別の事情が存在します。

実際、大阪の千里ニュータウンの建て替えの時も、分譲会社が土地の持ち分を高価買い取りで、等価交換で持ち出しがゼロ円にもかかわらず、建て替えの議論が始まってから10年~20年かかっていることを考えると、容積率に余裕のない民間の分譲マンションで高額な建て替え費用が発生するとなると、まとまる可能性がいかに低いかがわかります。

契約時、さらっと知らされる既存不適格の意味!建て替えは絶望を意味する!

高額な建て替え費用の負担だけでなく、建て替えをしてしまうと、現状の住戸の専有面積の広さよりも狭くなってしまうマンションも存在します。

どんなマンションが、あてはまるかというと「既存不適格」のマンションです。 築年数の古いマンションがこれに該当する可能性がでてきます。

既存不適格は、建て替えの絶望を意味します。契約の時に説明される重要事項説明の中で、既存不適格という言葉がでてきます。これは、マンションの場合、致命的な言葉ではありますが、さらっと説明されるだけなのが一般的です。

都市計画法・建築基準法のような法律は、時代に合わせて改定されていきます。契約時、説明される重要事項説明書はあくまで、現時点での都市計画法・建築基準法に基づいて行われるに過ぎません。将来、どう変わるかは予測できません。新築マンションで購入しても将来、法律が厳しくなって、法律に適合しない物件になる可能性があるということです。

昭和25年に施行された建築基準法はたびたび改定され、建物の建築当時には適法だったものの、その後の都市計画法・建築基準法の改定などによって、現行の法律に適合しなくなってしまった建築物のことを「既存不適格物件」といいます。

ただし、現行の法律に適合していないからといって、 「違法建築物件」とは違います。だから、建て直さなければならないというわけではありません。

あくまで、既存不適格物件の場合、「建築時には適法だった」もので、現状のまま住む分にはまったく問題はありません。しかし、建て替えをする場合に大きな問題が起こります。

既存不適格とは 契約前に知っておくべきこと

建物の建築当時には適法であったが、その後の法令の改定などによって、現行の法律に適合しなくなってしまった建築物のことを「既存不適格物件」といいます。この物件を購入する場合、建て替えは絶望と知った上で購入しなければいけません。購入した瞬間から、資産ではなく負債にしかなりません。

何年以上住めば元が取れるのか、割に合うのか考えて、割り切って購入するしかありません。

つまり、既存不適格物件のマンションは、容積率や建ぺい率、高さ制限などで、より厳しく法改正された場合に起こります。大阪の北摂エリアでは、箕面市のマンションで多く見受けられます。御堂筋線の沿線で、新駅ができるということでお祝儀相場で高値になっているマンションもありますが、高さ制限においてひっかかり、既存不適格になっているマンションが多く存在します。

容積率や高さが超過している場合、建物を建て替える場合、1戸あたりの専有面積を減らすか、あるいは物件の戸数を減らすしか方法はありません。 建て替えの時、大変なことになると言うことは十分、想像できます。

この状態で高額な建て替え費用を負担しなければならないとなれば、だれも賛成しないかもしれません。建て替えは絶望としか言い様はありません。

行政が容積率を緩和するしか建て替えの道はない!

今後、老朽化が進み、建物の寿命を迎えるマンションが増えて、社会問題化していくことが目に見えています。建て替えの可能性が高くなるとすると、持ち出しのお金がゼロ円で、新築に建て変わるパターンに限定されることを踏まえると、現在、行政のコスト負担を軽減するために居住誘導エリアと非居住誘導エリアに分かれているように、建て替え誘導エリアというのを作って、特別に容積率を緩和する法律を作るしか建て替えの道はなさそうです。現時点では現実的には、容積率の緩和を陳情しても難しいでしょう。

管理組合としても、建物をできるだけ長く維持するのか、建て替えを目指すのか、あるいは区分所有権を解消して売却するのか、自分たちのマンションの将来を見据えた管理維持を目指さなければ、ゴーストタウン化して倒壊を待つだけになってしまいます。

2021年6月、アメリカのフロリダ州で倒壊したマンションは、1981年建築で築40年ほどのマンションです。

建て替えが実施されないマンションのたどる道

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建て替えが実施されないマンションがどのような末路をたどるのか。

建て替えが実施されないマンションの今後

  • 定期的な大規模修繕をしてできる限り寿命を延ばすしかない
  • 最後の最後はデベロッパーにマンション敷地を売却するしかない

定期的な大規模修繕

建て替えをしないマンションは、定期的な大規模修繕を継続していくしか選択肢はありません。大規模修繕であれば、今まで積み立ててきた修繕積立金の中で実行できる可能性が高くなります。

ちなみにバリアフリー工事レベルであれば区分所有者及び議決権の2分の1以上の普通決議で実行できるため、住民の賛同も得やすいです。

マンション敷地売却制度を利用して敷地を売却する

マンション敷地売却制度とは、資金不足で建て替えができないマンションを都道府県知事の認定を受けた買受人(主にマンションディベロッパー)が買い受けてくれる制度のことです。平成26年6月に、「マンションの建替え等の円滑化に関する法律(建替え円滑化法)」が改正され、マンションおよびその敷地を売却するための特例が創設されました(マンション・敷地売却制度)。

マンション敷地売却制度は、建て替えではなく、全体を売却することから資金がなくても実行することができます。

改正建替え円滑化法により、特定行政庁にマンションを除却する必要がある旨の認定(要除却認定マンションの認定)ができる権限が付与されました。

マンション敷地売却制度を利用できるマンションは、耐震性不足のために除去すべきであると行政に認定されたマンションです。特定行政庁によって耐震性不足のために除去すべきであると認定されたマンション(要除却認定マンション)については、区分所有者の大多数が賛成すれば、マンションおよびその敷地の売却を行う旨を決議することができるものとされました。決議には、区分所有者の頭数、議決権および敷地利用権の持分の価格の各5分の4以上の多数の賛成が必要です(同法第108条第1項)。

単なる売却であるため、資金のハードルはかなり低いですが、賛成数は建て替え決議と同等の5分の4以上の多数の賛成が必要であり、簡単に決定できるものではないといえます。

マンション敷地売却制度を実行するには、建て替えと同じレベルのハードルがあり、住民への十分な周知と意識の醸成が必要です。

多くの老朽化マンションにとって「敷地売却」が最も現実的、かつ「唯一の出口」になり得る選択肢

2026年現在の法状況と経済環境を照らし合わせると、多くの老朽化マンションにとって「敷地売却」は最も現実的、かつ「唯一の出口」になり得る選択肢だと言えます。

なぜ「建て替え」よりも「敷地売却」が現実的なのか、法律面と実務面の両方からその理由を整理します。

1. 法改正による「手続きの連続性」の確保

2026年4月施行の改正法(区分所有法およびマンション建替円滑化法)により、敷地売却への道筋が法的に非常にスムーズになりました。

  • 決議要件の緩和: 耐震不足などの認定があれば、これまでの「4/5(80%)」から「3/4(75%)」の賛成で売却が可能になりました。
  • 所在不明者の除外: 連絡が取れない所有者を分母から除外できるため、「反対はされないが賛成も得られない」という膠着状態を打破できます。
  • 分配金取得計画の明文化: 売却後の代金をどう分けるかのルール(分配金取得計画)が整備され、反対者に対する買い取り手続きも法的にパッケージ化されています。

2. 「追い金」が発生しない経済的メリット

「建て替え」との決定的な違いは、住民が身銭を切る必要がない点です。ただし、敷地売却は「誰かがその土地を欲しがっている」ことが大前提の出口戦略であり、買い手(デベロッパー等)が現れない限り、机上の空論になってしまいます。

  • 建て替え: 数千万円の「持ち出し(自己負担)」が発生し、払えない人が出た時点で計画が止まります。
  • 敷地売却: マンション全体をデベロッパー等に売却し、その代金を区分所有者で分け合います。手元にお金が残るため、それを元手に「次の住まい(住み替え先)」を探すという、前向きな撤退が可能になります。

3. デベロッパー側のニーズとの一致

建築費が高騰している今、デベロッパーにとっても「既存住民の要望を100%聞きながら進める建て替え」は非常にリスクが高い事業です。

  • 敷地売却なら: デベロッパーは「更地」に近い状態で土地を取得できるため、自由度の高い新築計画を立てやすく、ビジネスとして成立させやすくなります。
  • 買受人の選定: 法律上、売却先(買受人)をあらかじめ決めてから決議を行うため、出口が保証されている安心感があります。

4. 残された「住まいの確保」という課題

法律面でどれだけ現実的になっても、最後の一線でハードルとなるのは高齢者の住み替え先です。

  • 長年住み慣れた場所を離れたくない。
  • 高齢を理由に、賃貸住宅の審査が通りにくい。
  • 売却代金だけでは、近隣の同条件の物件に買い替えられない。

買ってくれる会社がない場合、マンションは非常に厳しい「負のスパイラル」に陥るシナリオ

敷地売却で、買ってくれるデベロッパーがいれば、なんとか出口戦略は見えてきます。しかし、もし買ってくれる会社がない場合、マンションは非常に厳しい「負のスパイラル」に陥ることになります。その末路として考えられるシナリオは主に3つです。

1. 「修繕の無限ループ」とスラム化

買い手がいないということは、その土地に「新しく建物を建てて利益を出す魅力がない」と判断されたことを意味します。そうなると、住民は今の建物にしがみつくしかありません。

  • 修繕費の急増: 築年数が経つほど修繕箇所は増え、工事費も高騰します。
  • 管理費の未納増: 建物がボロボロになると資産価値が下がり、売却も賃貸もできなくなった部屋が放置され、管理費が入らなくなります。
  • 結果: 適切な管理ができなくなり、外壁の剥落や配管の破裂が放置される「スラム化」が進みます。

2. 自治体による「特定合議マンション」への指定

2026年現在、改正マンション管理適正化法などに基づき、自治体の監督権限が強まっています。あまりに危険な状態が放置されると、以下のような行政介入が起こり得ます。

  • 助言・指導・勧告: 自治体から管理組合に対して、改善を求める強い圧力がかかります。
  • 行政代執行: 万が一、建物が崩落して周囲に危険を及ぼすと判断された場合、自治体が強制的に解体することがあります。ただし、その解体費用(数億円単位)は、後で区分所有者に請求されます。

3. 「建物除却(解体)」のみの実施

土地を売却せず、建物だけを取り壊して更地にするという選択です。

  • 土地だけ残る: 建物がなくなれば、区分所有者は「土地の持ち分」を共有するだけの状態になります。
  • 固定資産税の跳ね上がり: 住宅が建っていることで受けられていた「住宅用地の特例(税金の軽減)」が解除され、土地の固定資産税が最大6倍に跳ね上がります。
  • 出口のなさ: 更地にしても買い手がいない場所であれば、ただ高い税金を払い続けるだけの「負動産」を抱え続けることになります。

買い手がいない場合の現実的な「次の一手」はあるのか?

敷地売却でも買い手が見つからないマンションがとれる可能性のある対策は、以下の通りです。どれも確実に出口が見つかる方法ではありません。購入時、このような結末を迎えないマンションを選択することが唯一の戦略です。

もう買ってしまったという人は、結局のところ、「出口(買い手)があるうちに決断できるか」が、マンション格差の決定的な分かれ道になっています。価値があるうちに敷地売却を決議できれば「現金」が残る可能性がありますが、タイミングを逃すと「巨額の解体費請求」が残るリスク「負の不動産を抱え続ける」というのが今の不動産市場のシビアな現実です。

  • 隣地との共同売却: 単体では魅力がなくても、隣の土地と一緒に売ることで開発価値を高め、買い手を呼び込む。
  • 容積率の緩和を自治体に陳情: 「このままだと廃墟になる」という危機感を共有し、特例で容積率を増やしてもらう交渉を行う(かなりハードルは高いです)。
  • ランドバンクへの相談: 買い手がつかない不動産を引き取る公的な仕組みやNPO等への相談する。

マンションの建て替えが決まった時の2パターン

マンションの建て替えが決まった時の2パターンの対処法についてお伝えします。

マンションの建て替えが決まった時の2パターン

  • 建て替えに賛成して負担金を支払って再入居する
  • 建て替えに反対して時価で売却して立ち退きする

建て替えに賛成して負担金を支払い再入居する

建て替えに賛成して負担期を支払って再入居するという選択肢があります。マンションの建て替えには区分所有者には容積率が余っていない限り費用負担が確実にあります。

建築費の一部は修繕積立金の中から充当されるため、その分少しだけ負担が少なくなりますが、容積率が余っていない場合、解体費用・建築費用がもろにかかります。

また、住み慣れた環境を変えたくないという方や、経済的に問題のない方は再入居した方がメリットがありそうです。

建て替えに反対して立ち退きする

建て替えに反対して立ち退きするという選択がありますが、負担金の支払いが難しい場合、仕方のない選択となります。建て替え決議は5分の4以上の賛成で可決されるため、最大で5分の1の反対者は存在しすることになります。

反対者に対しては、建て替え組合による売渡請求という手続きが存在し、組合より売渡請求権が実行されると、建て替えに反対している人が持っているマンションの持分を組合が自動的に買い取ることになります。

売渡請求権というのは、権利者である組合が権利の実行を決めた場合、マンションの持分を売却しないと決めていても自動的に売買が成立することになります。

つまり、売渡請求を受ければ、そのマンションを時価で売却することになります。

分譲マンションには、賃貸物件のような立ち退き料のようなものはありません。自宅の持ち分を売却し受け取ったお金で新しい住宅の費用や引っ越し費用を捻出することになります。

マンション敷地売却の場合の流れ

 決議合意者は、決議合意者等の4分の3以上の同意で、都道府県知事等の認可を受けてマンションおよびその敷地の売却を行う組合を設立します(建替え円滑化法第120条第1項・第2項)。決議に係るマンションを買い受けようとする者は、決議前にマンションに係る買受計画を作成し、都道府県知事等の認定を受けます。決議で定める買受人(デベロッパー)は、認定を受けた者でなければなりません(同法第108条第3項、第109条第1項)。

 都道府県知事等の認可を受ければ、分配金取得計画で定める権利消滅期日に、マンションおよびその敷地利用権は組合に帰属し、マンションとその敷地利用権に係る担保権も消滅します(同法第149条第1項)。

 その後、組合と買受人(デベロッパー)との間で売買契約を締結し、買受人は組合に売買代金を支払い、買受人が買受計画に従って従前マンションの除却を実施することになります。

 買受人(デベロッパー)は、買い受けた土地上にマンションを再建して事業化するので、再入居希望者は、買受人(デベロッパー)との間で個別に再建マンションを購入すれば、再入居を行うことも可能です。再入居を望まない場合には、分配金等を元手として、他の住宅へ住み替えることになります。

建て替え費用の負担が厳しい時はマンション売却も検討すべき!負動産は「逃げるが勝ち」

建て替え費用の負担が大きくて反対しても、最終的には売渡請求によって時価で売却できます。

しかしながら、建て替え時期はいつになるかわかりませんので、中古でリノベーションして購入する時注意が必要です。購入してしばらくして建て替えが決まり、ローンが残っていると、ダブルローンを組むことになる可能性があり、また、ダブルローンが無理なら、分配金だけもらって、その分配金を繰り上げ返済に充てても残るローンはそのままその住宅ローンをかかえたまま賃貸住宅に住み替えることになります。

賛成もしたくない場合には高く売れるうちに売ってしまうことがオススメです。仮に反対者になって売渡請求によって売っても、売れる価格は時価です。

なぜ「逃げるが勝ち」なのか、3つのポイントで整理しました。

1. 「ババ抜き」の最終局面

マンションの老朽化が進むと、ある時期を境に「修繕もできない、売却もできない」というデッドロック状態に陥ります。

  • 逃げ切れる人: まだ買い手がつくうちに売却し、現金化して次の住まいに移れる人。
  • 逃げ遅れる人: 限界まで住み続け、いざ売ろうとした時には「買い手不在」や「解体費負担」を突きつけられる人。 特に2026年現在は、改正法によって「敷地売却」という出口が使いやすくなった直後です。このタイミングで決断できる管理組合は、いわば「勝ち組の撤退」を選べる最後の世代かもしれません。

2. 経済的な「損切り」の重要性

「住み慣れた場所だから」という感情は大切ですが、経済面で見ると損切りの判断が不可欠です。

  • 3,000万円の追加負担をして建て替えても、その後の30年でさらに維持費がかかります。
  • 今、敷地売却で100万円でも手元に残れば、それを元手に賃貸や高齢者施設、あるいは利便性の高い中古物件へスライドできるかもしれません。 傷口を広げず「マイナス(負担)」を最小限に抑えて「プラス(現金)」もしくは「トントン」もしくは「若干マイナス」で終わらせる。これは立派な資産運用です。

3. 次世代への「負の遺産」の回避

これが最も大きなポイントかもしれません。

  • 逃げ遅れたマンションの区分所有権を子供が相続すると、住んでいないのに管理費・修繕積立金・固定資産税を払い続け、最後には数百万〜数千万円の解体費を請求されることになります。
  • 自分の代で「敷地売却」を成立させて精算しておくことは、子供世代への最大の贈り物になります。

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